アレグレギター工房

アレグレギター工房

ギター工房へ潜入!

アレグレギターの玄関には警備員らしき人がいて、中に案内してくれました。

すると建物の中、すぐに工房があり二人の男性がギターを作っています。

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おおー!ギター工房だよー!とひとりで感動していると、

お店のスタッフの男性が声をかけてくれました。

 

20歳くらいでしょうか。

体格は細く、背はどちらかというと低め。

日本語が少しできる様子で、

日本語半分、英語半分でギターの説明をしてくれました。

 

フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語です。

全国民の90%が英語を話せます。

幼稚園から英語を教えていくそうで、

英語を話せる割合が世界一高い国がフィリピンなんだとか。

 

僕はI want to play the guitar. OK?

ときくと彼はOK.と言って工房の向かいにあるギター販売所へ案内してくれました。

 

店内に入ってみる

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そこにはクラシックギターエレアコギターやウクレレなど

とても多種多様な楽器が並んでいます。

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ここを訪れたミュージシャンたちの写真も飾ってあって

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だいたいはフィリピンのローカル有名人が多かったのですが

BLACK EYED PEASのメンバーの写真がありました。

 

 

パパイヤギター

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パパイヤの一枚木材で作ったという珍しいギターも弾かせてもらいました。

こんなギター日本にないです。初めて見たし。

っていうか良い音してるんじゃない?このギター!

 

彼に「こんな面白いギターは日本で見たことないよ。どうして日本には輸出しないの?」

ときくと彼は「この木材を使うこと自体が新しいことで二年前から始めたんだ。世界でもこの工房だけで作っているんだよ。だから日本にないんだ。他のギターは一本当たり一カ月かけてつくるんだけど、これは三カ月かけるんだよ。珍しいギターなんだ。」と説明してくれました。

 

なるほどー。そうか。

僕はけっこう気に入ったのですが価格がだいたい60000くらい。

ギター工房にはギターを見に来たのだけなのであって、ギターを買いに来たわけではない僕にとってはガッツリ予算オーバー。

それに今はテンションがかなり高くなって冷静な判断力を欠いている自覚もあったので、購入したい気持ちは山々だけれども、ここは一回、購入せずにパスして冷静になろう。

セブには三泊四日で滞在する予定なので

本当に欲しくなったらまた来れば良い。と判断。

 

思いがけない優しさに触れる

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「オーケー。ありがとう。検討するよ」

そう言ってギターを返して、店を出ようとしたときに

彼は「オーケー。もう帰る?タクシー乗り場までバイクで送ろうか?」

と思いがけない言葉。

 

たしかにアレグレギター周辺は民家エリアでタクシーも通らない場所。

数時間前にやってきた異邦人にとっては移動が非常に不安な所なのです。

 

僕はおどろいて「え?大丈夫なの?」ときくと

「大丈夫。もう僕も帰る時間だしね。ちょっと待って。」

 

そう言って彼はササっとシャツ一枚を着替えて

自分のバイクを持ってきました。

 

手入れの行き届いたきれいな黒の車体。

きっと大切に乗っているバイクなんだろうなとわかりました。

 

「かっこいいね!」そういうと

彼はうれしそうに「後ろに乗って」とバイクに僕を乗せてくれました。

 

夕焼けの中泣きそう

僕は両手を彼の腰に回すと、

「手は後ろにバーがあるからそこを握って」と言われました。

 

そりゃそうだよね。

イカップルじゃないんだから腰に手はないよね。

なんか恥ずかしくなりました。

 

「じゃあ行くよ!」

彼は自慢のバイクに僕を乗せてアクセルをゴーします。

エンジンのうなりが体に響いてきます。

風を切って疾走していくバイク。

 

スラムのような町の中を現地の青年とツーリングしている。

それはとても不思議な気分。

 

彼はバイクを運転しながら僕に「僕の名前はアルバート。君は?」ときいてきました。

顔の距離が近いので喧騒の中でも声が聞き取りやすい。

「僕はレオっていうんだ。L.E.Oでレオだよ。」

アルバート「レオ?英語の名前なの?」と訊いてきます。

「レオはニックネームなんだよ。」

「そうなんだね。」

 

アルバートと色々な話をしました。

僕が今日からセブに観光で来ていること、彼には日本語を話せる友人がいること…。

 

アルバートの運転するバイクのエンジン音と夕暮れのオレンジ色の中で

僕はなぜか泣きそうになりました。

 

この感情はなんだろうか。

夕焼けが郷愁を誘ったから?

異国で人の優しさに触れたから?

 

フィリピンは日本に比べて貧しい国です。

暮らしぶりを見ればわかります。

でもそこに住む人たちの心はとても豊かなのかもしれない。

現代の日本人よりも、遥かに豊かなのかもしれない。

東京で困っている外国の人を見て自分から手を差し伸べることが僕にはできるか?

 

いよいよセブへ向かう

涙が出そうになったその理由はわからないまま

二人を乗せたバイクは10分足らずで町のタクシー乗り場に到着しました。

僕はアルバートにお礼を言ってfacebookで連絡先を交換しました。

 

手を振るアルバート。僕も笑顔で手を振りました。

乗り込んだタクシーはセブ島のホテルに向かいます。

 

砂埃と黒い排気ガスにまみれた町が

なぜかとても美しく感じたある日の夕暮れの出来事でした。

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次回へ続きます